第6回ヒューマンアカデミー全国大会
日本を中心に870の教室をグローバル展開するヒューマンアカデミーロボット教室。そこで学ぶ約1万2000人の生徒の中から地区予選を勝ち抜いた精鋭が競い合う「第6回ヒューマンアカデミーロボット教室全国大会」が、2016年8月20日に東京大学安田講堂で開催されました。
その熱気に包まれた会場の様子をレポートします。

全国から集まった32人の精鋭が最高峰に挑む

全国各地で行われた地区予選に勝ち抜き、最優秀者を決定する全国大会の舞台に上がったのは、条件付コースをロボットが通過するスピードで競う「テクニカルコンテスト」に出場する12人と、自作ロボットのアイデアをプレゼンで競う「アイデアコンテスト」に出場する20人。
総勢32人がこれから独自の技を持つロボットで競い合います。[その中のひとり竹田侑平くん(東京・高砂教室)は両コンテストに出場]

大会の審査委員長にはロボットクリエイターで本教室アドバイザーでもある高橋智隆先生。
そしてゲスト審査員に現代アーティストの鈴木康広さんらを迎えジャッジしていきます。
10時30分の開会挨拶の後に、全国の教室から集まった精鋭32人の熱い戦いが始まりました。

大会会場
(左)東京大学安田講堂は2階席もいっぱい、(中)審査委員長の高橋先生、(左)鈴木康広さんの楽しい講演も
審査員の様子
(左)選手入場、(中)右側がゲスト審査員の鈴木康広さん、(右)「テクニカルコンテスト」で使用される規定コース

速さと正確性が勝負の「テクニカルコンテスト」

スピード勝負の「テクニカルコンテスト」はトーナメント形式で行われます。午前中の試合では、12人が3人一組になり4組で戦います。
各組から一人が勝ち進み、合計4人が午後の準決勝・決勝戦に進む段取りです。

最初の3人一組がスタートラインに並びました。黒線が記された規定コースを、各選手のロボットがスタートの合図で走り出します。

スタートからゴールの間に描かれた黒線上にある人形型パーツをピックアップして、ゴールラインを通過し、規定の高さまで旗を上げること、この3つを一番に達成したロボットが勝ちというルールです。
これをクリアするためには、コースの黒線を正確に判別する機能と、設置された人形型パーツをうまくキャッチする機能の両方が本体のロボットに必要となります。
規定コースの黒い線をなぞりながら走るロボットを選手たちの真剣な眼差しが追いかけます。
念入りに調整したロボットでもアクシデントが起きるなど、ゴールでその表情に明暗が表れます。

最後の4番目に行われたレースは特に白熱しました。3人のうち2人の選手は、人形を備え付けたハードル状の装置をロボットがスタートした直後に通過する位置に置いたのですが、谷口昇也くん(大阪・狭山池前教室)だけはゴール目前に設置。
「スタート!」の合図でレースが始まると、谷口くんのロボットがスタートダッシュに成功。フィニッシュ前に人形型パーツを鮮やかにピックアップし、見事一着を勝ち取りました。

競技の様子
白熱のレースが行われる「テクニカルコンテスト」。ここが自作ロボットの性能を最大限に発揮する場だ。

「テクニカルコンテスト」の1回戦を突破したのは今井良くん(愛知・東山公園教室)、藤由輝栞くん(埼玉・越谷中央教室)、梅田壮次郎くん(愛知・東山公園教室)、谷口昇也くん(大阪・狭山池前教室)の4人でした。
高橋智隆先生からは「ロボットは調子のいい時、悪い時の波がある。コンテストでは時の運もあるが、勝ち上がるロボットは好調・不調の波が小さい」と講評が。
ロボットの安定した可動性が、全国大会という大舞台で勝ち上がるポイントということですが、これは日頃から教室で意識してロボットの癖を掴んで調整するといった高度な作業が必要です。

午後からは、準決勝と決勝戦が1回戦と同じルールで繰り広げられました。そして、「テクニカルコンテスト」の1位は梅田くん、2位に藤由くん、3位は今井くんという結果になりました。

表彰式の様子1
右から、「テクニカルコンテスト」1位の梅田くん、2位の藤由くん、3位の今井くん

今井くんと藤由くんが対決した3位決定戦では、ロボットのコースアウトなどハラハラドキドキの展開で3回戦までの持ち越し決戦になったことに対し、優勝した梅田くんのロボットはなんのひっかかりもなくキレイにゴール。
そんな場面を目のあたりにすると、確かにロボットの安定性が勝負の鍵を握っていることが分かります。

プレゼン力の「アイデアコンテスト」

もう一つの競技が「アイデアコンテスト」です。こちらは2分の制限時間内に、規定のパーツで作成した自作ロボットについて実技を伴うプレゼンをし、審査が行われます。

ヒューマンアカデミーロボット教室では、「ベーシックコース」、「ミドルコース」、「アドバンスコース」の順でロボットの知識と技術力をアップさせるカリキュラムなのですが、最初は初級の「ベーシックコース」から9人が登壇しました。

まず会場の注目を集めたのが、竹島大喜くん(和歌山・和歌山ビッグ愛教室)です。
ロボットのコンセプトは「食人植物」。食虫植物のハエトリグサとウツボカズラにヒントを得たといいます。
ロボットに人形型パーツを設置しスイッチを入れると、ハエトリグサのようなアームが人形を掴み、ウツボカズラの補虫袋のような部分に投げ入れる仕組みです。複数のギアを使った構造になっているのですが、それを用意したパネルで説明。

最後にロボットを動かしてみせる時、「ハエトリグサが人形を取り、ウツボカズラに入るまでは0.2秒です。よく見ておいてください」のひと言に、会場中が沸きました! 満席の観客が息を飲み見つめる中、人形が瞬間的にウツボカズラに取り込まれると、大きな拍手が起こりました。

プレゼンの様子
(左)「食人植物」ロボットの竹島くん。(右)「シーソー転車台」の花園くん

この後も、他の選手の自作ロボットのプレゼンが続いていきます。

そして花園明良くん(大阪・狭山池前教室)のロボットとプレゼンには、観客のどよめきが起こりました。彼は「シーソー転車台」と題したロボットを製作。
ブロックの車が到着すると転車台が自動で方向を転換し、車の進行方向を変えられるアイデアを取り入れた点を強調します。
転車台上で車が停止すると、その車の動力モーターに連動したギアが転車台のギアと組み合わさって、車のモーターが転車台を見事に回転させるのです。
「毎朝早起きして工夫を重ねた」という花園くんは、会場の好評価が努力の成果と満足げでした。

安田基くん(兵庫・加古川総合文化センター教室)のロボット「スイッチングシーソー」もユニークな発想でした。シーソーを模した装置の上を、人形が乗った台車が左右に行き来します。
モーターは台車側に搭載されていますが、台車がシーソー板の上を進み中間地点を超えると、自らの重さでシーソーが傾きます。すると台車のギアが切り替わり、今度は逆方向を向いて台車が進むのです。
延々とそれを繰り返すので、スイッチを切らない限りロボットの動きが止まることはありません。

スイッチングシーソー
安田くんのロボット「スイッチングシーソー」とプレゼンの様子

 

プテラノくん
島田くんのロボット「プテラノくん」のプレゼンの様子。始まる前はちょっと緊張

最年少、小学1年の島田成真くん(東京・東大前教室)も負けてはいませんでした。
翼竜プテラノドンが翼をはためかせて前進する「プテラノくん」のかわいらしさに加え、その高い完成度とプレゼンに観客の反応は良かったです。

しかし、選手のほとんどが小学生だったのですが、みんなプレゼンが本当に上手です。
パネルを効果的に使用し、説明する場面とロボットを見せる場面の段取りも考え抜いています。
苦労して作った自作ロボットの魅力を会場にいる全ての人に分かってもらいたいという気持ちが、伝え方の工夫につながっているのでしょう。

大会の印象について、ちょっと一言

昼食休憩中、「プテラノくん」の島田くんや他の男子に大会の印象について聞いてみました。すると口々に「緊張した!」「 一個間違えた!!」の声が。観客席からは、そんな風には見えなかったので、ちょっと驚きです。
「シーソー転車台」の花園くんは「人には緊張しなかったけど、マイクの音が思った以上に大きくて、自分の声に緊張した」と、ちょっと笑えるエピソードを語ってくれました。

また、「テクニカル」と「アイデア」の両方のコンテストに挑む竹田くんのお母さまにも感想を伺うことができました。
「もともとロボット好きで、ヒューマンアカデミーの教室に通いだして1年ほど。今では、普通の工作ですら試行錯誤して考える癖がつきました」と普段の竹田くんの様子を教えてくれました。
実は「テクニカルコンテスト」の1回戦で竹田くんが敗退した直後だったのですが、「引き続き応援します」と午後からの「アイデアコンテスト」に期待を寄せていました。

動物ロボットが続々登場

午後からの「アイデアコンテスト」には、「ミドルコースの部」の9人、「アドバンスコースの部」の2人が発表。うち、「ミドルコースの部」には中国・上海からやって来た呉遜敏くんも参加。グローバル展開するヒューマンアカデミーロボット教室ならではです。

「ミドルコースの部」での発表は、動物モチーフが多く見られました。ピョコン、ピョコンと跳ねて前進する「ワラビーロボット」は、松尾亮治くん(福岡・八幡東教室)です。お腹の袋部分に電池パックを配し、常に地面に接しているしっぽでバランスをとります。

また、ゆっくりと羽を広げるクジャクを再現した「ピーコックロボ」は、青木宏太朗くん(愛知・大高青山教室)。「動物園のクジャクを見て思いついた」そうで、羽をゆっくり開くため、モーターを減速させる工夫がなされていました。

角野優介くん(東京・武蔵村山学園教室)は「ハムスターファミリー」でした。「ペットのハムスターに家族を増やしてあげたくて」と角野くん。スイッチを入れると、ブロックのハムスターが回転車を回したり、えさを食べたりします。ペットへの愛情が伝わるロボットに、会場からほのぼのとした声援と拍手がわき起こりました。

動物ロボット
(右)松尾くん「ワラビーロボット」(中)青木くん「ピーコックロボ」プレゼン(右)角野くん「ハムスターファミリー」

「テクニカルコンテスト」を1回戦で敗退した竹田くんは、「お散歩ブタさん」で再登場です。ロボットのブタが、装置の階段を降りたり、台にのって方向転換したりと動き回ります。高橋智隆先生からは「階段は上れないの?」と興味津々の問いかけも。「時には上れるけれど、いつもではないので発表からは省きました」と手堅いパフォーマンスへのこだわりを説明していました。

お散歩ぶたさん
竹田くんの「お散歩ブタさん」のプレゼンでは高橋先生の質問が入る

「ミドルコースの部」は「ベーシックコースの部」より高学年が多く、具体的な機能に対するプレゼンが充実しています。審査員の質問も、ロボットの可能性をさらに探るためのチェックが増えていました。

光センサーを駆使した独自アイデアに脱帽

「アドバンスコースの部」では、ロボットの機能を利用したアイデアがさらに進化を見せていました。
光センサーとフェルトペンの動きを連動させ、線画を拡大・縮小描画するアイデアは「拡大・縮小コピーロボット」。大本航太郎くん(大阪・狭山池前教室)のロボットです。あらかじめ用意された「C」の黒文字を、センサーが読み取ります。その時フェルトペンが可動し、紙に50%縮小・200%拡大の「C」を書きあげた瞬間には、その性能に驚くばかりでした。

拡大縮小コピーロボット
「拡大・縮小コピーロボット」のプレゼンをする大本くん。右のスクリーンは実演風景。

また、大会最後の発表者となった堀内優希くん(奈良・奈良学園前教室)は「ATMロボット」で勝負をかけました。こちらも光センサーを用い、白黒の面積比を工夫して自作したキャッシュカードを読み取らせて、模擬紙幣を引き出します。正しく読み取ると、ギアのついたアームが移動し、他のギアと組み合わさって、引き出し部分が動く仕組みでした。

どちらも、さすがヒューマンアカデミーロボット教室の最上級「アドバンスコース」の予選突破者と感心してしまいます。

ATMロボット
堀内くんの「ATMロボット」のプレゼン。右は模擬紙幣を取り出したところ

アイデアフルで極めて個性的なロボットが続々と紹介された「アイデアコンテスト」でしたが、その中で最優秀賞を受賞したのは、「ベーシックコースの部」では「スイッチングシーソー」の安田くん、「ミドルコースの部」は「お散歩ブタさん」の竹田くん、「アドバンスコースの部」が「ATMロボット」の堀内くんでした。

表彰式2
「アイデアコンテスト」の最優秀賞受賞者(左)「スイッチングシーソー」安田くん、(中)「お散歩ブタさん」竹田くん、(右)「ATMロボット」堀内くん

そして大会の中で最も優れたロボットに贈られる栄光の賞がMVP賞です。
今回、見事に受賞したのは「ベーシックコースの部」で出場した花園くんの「シーソー転車台」で、高橋智隆先生から表彰状が贈られ、この他にも各部門での入賞者や大会スポンサーの企業賞が発表されました。会場の観客から割れるような拍手が起こりました。

ベーシックコース表彰式
「ベーシックコースの部」で出場した花園くんの「シーソー転車台」がMVP賞を受賞。

 

特別賞1
(左)インテル特別賞/竹島大喜くん、(中)インテル特別賞/松尾亮治くん、(右)ヴイストン特別賞/大本航太郎くん

 

特別賞2
(左)ヒューマン特別賞/青木宏太朗くん、(中)受賞者の様子、(右)デアゴスティーニ特別賞/島田成真くん

どの受賞者も、満面の笑みで記念写真に収まります。まさに夏休み最高の思い出!もちろん受賞者だけでなく、全国大会の出場者全員が一生忘れられないドラマを経験したことでしょう。

自分の好きなことに一生懸命になれる子どもの姿は、大人にも感動と元気を与えてくれました。

ロボット教育で子どものやる気という大きなエネルギーを引き出し、さらにもっと上を目指すことへの喜びや、達成感を伝える夏の一日。
それが「ヒューマンアカデミーロボット教室全国大会」なのでした。

大会の様子
全国大会は勝負の場であると同時に友人との出会いの場。そして憧れの高橋先生からサインをもらえる場所でもあります。

第6回ヒューマンアカデミーロボット教室全国大会 概要

  • 主催:ヒューマンアカデミー http://kids.athuman.com/robo/CI/
  • 開催日時: 2016年8月20日(土) 開会10:30~閉会17:00
  • 会場:東京大学 安田講堂 〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1 東京大学本郷キャンパス内
  • 審査委員長:高橋智隆氏(ロボットクリエイター・ヒューマンアカデミーロボット教室アドバイザー)
  • 審査員:鈴木康広氏(現代アーティスト)

<全国大会プログラム>

【午前の部】

  • 開会、主催者挨拶、審査員紹介 10:30
  • テクニカルコンテスト 1回戦
  • アイデアコンテスト ベーシックコース部門
  • ゲスト審査員鈴木康広氏講演
  • 昼食休憩

【午後の部】

  • アイデアコンテスト ミドルコース・アドバンスコース部門
  • テクニカルコンテスト 決勝トーナメント
  • 高橋智隆先生による講演
  • 表彰式、コンテスト総括、閉会の辞
  • 閉会 17:00